「HIKARI」についての覚え書


潟鴻Cヤル社員の皆様へ

私はガラス素材を扱って仕事をしています。

この素材からさまざまな性質や表情を読み取り、カタチをあたえ、

創ることは自分にとっても,、また観る人にとっても、どのような見えかたをするのか、

また感じ方をするのか、どのように影響するのかとても興味があります。

このことをさまざまなガラス素材を選んで、道具、技術を操り、

ときにはそれらをあみだしてプロセスを辿るということをしています。

それはシステムを創り出すということでもあります。

このことによって、今までに見たことの無い新しい造形を生み出すことに挑戦しています。

そもそもモノを創るということは、言葉では言い表せない次元のことを、

私はガラスの素材を通して表現しようとしています。

目には見えたりしないモノやコトやカンジなど、潜んでいる状態を素材を通し、

自分自身を通して、現すことをしています。

現在私の作品形態は抽象形態になりますが、ガラスという素材の対象から抽き出そうとするものは

つまり物事の本質本性を捉えることであり、この素材に潜んでいる本質本性の部分を道具、

技術によりどのように発現させ「象」として抽きだすかということに挑んでいます。

また、私の作品は「観る」ということと同時に直感的な感覚で、「感じれる」ことができる作品を目指しています。

私が今回制作した作品のタイトルは「HIKARI」です。

今回の作品はガラスの一つの特徴である光学的要素が重要になっていますが、

制作方法は天体望遠鏡や、カメラのレンズに使用される屈折率の高い透明な光学ガラスを

無垢の塊にし、削り出して、表面ディテールを残しながら研磨して創りました。

研磨しているとはいえ、一見スリガラスのように見えるカタチは、そのまるでタマゴか繭のようなカタチ、

ハート、あるいは女性の肉体の一部を思い起こすようにも感じられかも知れませんが、

それらをイメージして創ったわけではありません。

私の想い感じる「ホスピタリテイーの精神」をカタチに現わしたのです。

ガラスという素材は光の波長をとても良く伝達し、ガラスの表面の加工方法によつても

さまざまな光の波長の出し方を変えます。

わずか数ミクロンの皮のようなスリガラス状の表面加工によって、

光は透明で無垢なガラスの内部にたまり、光を宿し、光を放ちます。

今回、自然光である太陽はこの作品の重要な要素になっています。

このガラスが発している光は太陽光であり、その光が、ガラスという素材によって、

かたちつくられています。ですから、作品は光によって呼吸しています。

今回作品を設置する場所を野外にお願いしたのも、その時々の天然、

自然光の波動エネルギーの響きをガラスの作品を通して観ることで、

あるいは触れる事で、晴れた日、雨の日、曇り、残業で徹夜した夜明けどき、

そして夜ライトアップされた時と、さまざまな楽しみ方をしていただきたかったからです。

静かな月明かりの一時もオススメですし、周りの照明を消して、

蝋燭の灯りに照らし出された作品も幽玄な時を創り出します。

ストレスが溜まったときや、いらついたとき、息抜きのときなど、

私の作品と共にいっぱい光を呼吸してください。光に包まれ、戯れてください。

私の作品は生きものです。「イノチのマリ」です。

そして、皆さんのすばらしいロイヤルホスピタリティー精神を育むひとつの道具として

使い続けてやっていただきたいと、願っております。


2002年4月22日 
 

狩野智宏